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執筆者の写真RYOTARO SHIMA

全固体電池を3D印刷で製造するシリコンバレーのテクノロジー

更新日:2021年4月29日



液系リチウムイオン電池と全固体電池の違い


現在、スマホや電気自動車などあらゆるところで使われている電池はリチウムイオン電池と呼ばれています。ありとあらゆるところで使われているこの電池はプラスとマイナスを繋いでる(電解質)は液体なのが特徴です。そして、簡単に言うと全固体電池とはこの電解質を液体ではなく、固体にした電池のことです。


その昔にタブレット発火事件があったように液体の電解質を使ういわゆる液系リチウムイオン電池は安全性に課題があり、全固体電池はそれを克服する可能性があると言われていて、日本ではトヨタ自動車などが研究開発を進めています。


全固体電池の課題


固体のほうが電気化学的に安定性が高いので、使える温度領域が大きく広がったり、エネルギー密度が増えることでコンパクト化し、電気自動車の航続距離も増えることが期待されています。


ただ、全固体電池は小型のものは既に実用化をしつつあるものの、技術的な難易度は高く(注)、一般の電気自動車に使える大きさや性能でかつ量産できるような全固体電池はいまだに完成していません。また、既存の液系リチウムイオン電池と比べて本当に技術的に優位性があるのか、を含めていろいろと議論があり、注目されている分野なのです。

注)NEDOの先進・革新蓄電池材料評価技術開発資料でも高イオン伝導性を有した電解質の合成技術や、電極活物質と電解質の界面における副反応抵抗層の解消技術などが難しいとされています。

シリコンバレーでは、2020年9月にSPACで上場したクオンタム・スケープ社が全固体電池の技術的課題を克服したと発表して、大きく株価を伸ばし、GMやFordよりも時価総額が大きくなるなど、非常に注目されていますが、まだまだ量産化には至っていません。


SAKUÚと3D印刷



image source - keracel.com

SAKUÚ Corporation (旧社名:KeraCel)、これを3Dプリンティングの技術で実現しようとしているシリコンバレーにあるテクノロジー会社です。


3D印刷は、Additive Manufacturing とも呼ばれ、3次元的なデジタル・モデルをもとにして、(現実の)物体をつくりだすことができる機械のことで、材料としてはプラスチックなどの樹脂を使うことが多いですが、最近では金属を使った3D印刷もでてきていて、次世代の技術として注目されています。


SAKUÚは、複数素材、かつ複数手法で3Dプリンティングをし、金属部品など単なる静的(Static)な製品ではなく、電池などそれ自体が動的(Active)な性能を持つ製品を印刷することができる、という技術(そして特許)をもっている点に特徴があります。


従来のリチウムイオン電池は、正極、負極、電解質、セパレーターなどを別々に製造した上でそれらをひっつけるという製造プロセスをとるためどうしても、それぞれの層が厚くなってしまうのですが、3D印刷を使うことで、従来の電池と比べて使う材料も半減しより薄い層で電池を製造することができるわけです


さらに、3D印刷なので成型に非常に自由度があり例えば眼鏡の淵を全部電池にする、といったことも実現できるかもしれません。SAKUÚがすごいのは、コンセプトだけではなく既に一つのプロセスで熱処理(焼結)前までの電池を3D印刷で製造できている点です。


まだまだ世に出していくには時間がかかると思いますが、この複数素材を使った3D印刷技術は電池以外にも応用領域が広く、世の中を変えていく可能性がある技術なので、今後がとても楽しみな会社です。


弊社Global Tech Partners代表が取締役を務めるシリコンバレーにある、3D印刷により全固定電池を開発するSAKUÚ Corporation社についてお問い合わせがある場合はこちらからお願いします。


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